輸血室
輸血とは
輸血とは、「血液という臓器」の移植です。したがって、免疫反応など多くの副作用があり、安易に行うことはできません。輸血に用いられる製剤は、全て供血者から採血された血液、及びその成分です。
輸血副作用
比較的短時間で現れる反応
- 溶血反応
ABO不適合赤血球輸血、ABO血液型以外の不適合輸血 - 発熱
- 過敏反応
アレルギー反応(蕁麻疹など)、アナフィラキシー反応 - 輸血関連急性肺障害
かなり時間が経ってから現れる反応
- 遅延性溶血反応
- 輸血後紫斑病
- 移植片対宿主病(GVHD)
- 輸血後感染症
輸血療法
血液中の各成分(赤血球、血小板、蛋白成分、血液凝固因子など)が、少なくなったり、働きが悪くなったりした時に輸血をし、その成分を補います。これには、一定のリスク(副作用)が伴いますので、リスクを上回る効果が期待される場合にのみ行います。
輸血室業務内容
輸血室では、輸血療法の安全性の確保、血液製剤の適性使用および有効利用の推進、副作用の把握と防止の実現に努めています。主な業務には以下のようなものがあります。
輸血用血液製剤の管理
必要数の血液製剤を在庫し、24時間温度管理して品質を保持しています。また、無駄が出ないように適正使用を心がけています。
輸血関連検査
- 血液型検査(ABO式、Rh式等)
- 不規則抗体検査
過去の輸血や妊娠により、赤血球抗原に対する抗体が産生されていないかを検査します。 - 交差適合試験(クロスマッチ)
患者さんの血液と輸血する血液が適合しているかを検査します。
輸血用血液の放射線照射
輸血された血液製剤の中に混入しているTリンパ球(移植片)が、輸血を受けた患者(宿主)を攻撃することがあります。致死的な輸血副作用のひとつで移植片対宿主病(GVHD)と言います。この輸血後GVHDの発生を予防するため、血液製剤を放射線照射し、混入しているTリンパ球を破壊します
自己血の採血(医師担当)、保管、出庫
急を要さない手術例において、事前に患者さん自身の血液を採取・保管し、手術に備えます。他人の血液である献血血液に比べ、副作用の発生が軽減されます。
末梢血幹細胞採取と保管(医師担当)
末梢血中の造血幹細胞(血液を造る元となる細胞)を採取・保管し、使用します。
当輸血室は、患者さんの安全を第一に考え、より安全で適正な輸血療法が行なわれるように、努めます。