細菌検査

細菌とは

細菌は肉眼では見ることができず、顕微鏡を使って拡大し、ようやく見ることができる小さな生物です。私たちが住んでいる地球上には、多くの種類の細菌が生息しています。ヒトに対して有害なものから、時には有益に働いたり、全く無害な状態で存在したりします。しかし、免疫力(抵抗力)の低下されている患者さんにとっては、健康なヒトには無害な菌でも、感染を起こすことがあります。

細菌検査室では

ヒトの体内には病気の原因となる菌以外にもたくさんの菌が存在しますが、その中から病気を起こしている菌(病原菌)を見分け、菌の名前を特定します。

また、どの治療薬(抗生物質)を使えば効果があるのかを調べています。

検査材料

患者さんの喀痰・尿・便・血液・穿刺液(胸水や腹水など)・膿など、様々なものが検査材料(検体)となります。

顕微鏡検査

検体をスライドグラス(ガラス板)に塗って染色し、顕微鏡で菌の有無や炎症の様子を観察します。


顕微鏡検査

小さな紫色が細菌(黄色ブドウ球菌)、
濃い赤色に染まっているのが白血球です。
炎症があると、このように多くの白血球が観察されます。

 

培養検査

検体を寒天培地に塗り広げることにより、細菌の培養を試みます。翌日には細菌が増殖し、コロニー(菌の集まり)を形成し、肉眼的にも観察できるようになります。このコロニーの形態・色などから総合的に判断し、感染を起こしていると考えられる病原菌を突き止めます。


培養検査

赤い寒天培地の上にある白く丸いものが、
コロニーです。1つのコロニーは、数百万個の
細菌が集まってできています。

 

薬剤感受性検査

培養によって検出された細菌を薬剤の入った液体に接種するなどして培養し、菌が増殖してくるかを調べます。増殖してくればその薬剤は「効かない」、増殖してこなければ「効く」ということがわかります。


この試験の結果は、感染症の治療に有効と思われる適切な抗生物質の選択の参考とされるため、感染症治療においてはとても重要な検査のひとつです。

院内感染対策

重要な業務のひとつとして、患者さんが病院内で菌に感染することがないよう「院内感染対策」に取り組み、委員会にさまざまな情報を提供しています。


写真提供:永田邦明著「感染症診断に役立つグラム染色」発行日水製薬株式会社