血液検査
血液一般検査
血液は体内に広く分布し、人体の総血液量は体重の約1/13とされています。この様に多量の血液が体内の隅々まで循環し、物質の運搬(酸素や炭酸ガス、栄養物、ホルモン、老廃物など)や生体の防御(細菌などの病原体や異物の除去、出血を止める機能など)、体温調節などの様々な生理機能を営んでいます。
血液は液体成分(血漿)と細胞成分から成り、細胞成分はさらに赤血球・白血球・血小板に分類されます。赤血球には血色素(ヘモグロビン)という特殊な色素が含まれており、血液が赤く見えるのはこの色素のためです。
赤血球や血色素が減少した場合を貧血といいます。貧血の原因には出血によるもの、血色素の合成に必要な鉄の不足、葉酸やビタミンB12の不足、赤血球の崩壊、血球生成を行う骨髄の機能が悪い場合などがあります。
白血球は、好中球(St、Seg)・リンパ球(Ly)・単球(Mo)・好酸球(Eo)・好塩基球(Ba)に分類されます。血液をスライドグラス(ガラス)上に薄く塗抹し、適切な染色を行った標本を顕微鏡で観察し、それぞれの白血球の割合(%)を出す検査が血液像検査です。また、赤血球・血小板の形態や異常な細胞(質的異常)の有無についても観察します。
血小板は主に、損傷した血管壁に粘着して損傷部位の止血に働きます。数が極端に減少したり、機能が低下した場合に出血し易くなります。このような検査は血液の凝固を阻止する抗凝固剤を加えて、固まらないように採血して測定します。
骨髄検査
骨髄は血液細胞(白血球、赤血球、血小板)を産生している場所で、非常に未熟な細胞からあらゆる成熟段階の細胞が詰まっています。正常な状態では、充分に成熟した血球のみが血液中に流出してきます。骨髄検査をすることで、骨髄の造血機能や血液疾患の原因、さらに腫瘍細胞の有無などが明確になります。また、血液疾患の診断や治療法の選択・治療効果の判定においては必須な検査となっています。
骨髄検査は、胸骨や腸骨に麻酔をして針を刺し、骨髄液を採取します。
凝固検査
生体内には血液が固まらないようにする機能と、血管が何らかの原因で損傷を受けた場合にその出血を止めようとする働きがあります。
凝固検査ではその両方の機能について調べます。血液が固まるためには、血小板、凝固因子、その他の関連物質が密接に関わりあっています。それぞれの凝固因子(14種類)は連携しあって働きますが、因子の量や働きによって、血液が固まり易かったり、止まりにくかったりします。
プロトロンビン時間(PT)・活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)・フィブリノゲンなどの項目を測定し、止血の機能に異常がないかを調べます。血栓塞栓症の薬として用いられる抗凝血薬、主にワーファリンによる治療のモニターにも使われます。なお、凝固因子は主に肝臓で作られるので、肝機能が悪いと低下します。
出血時間は耳たぶに傷をつけ、何分で血が止まるかを調べる検査です。30秒ごとに耳たぶに、ろ紙をあてて調べます。1~3分が正常、5分以上延長する場合は血小板の減少や機能低下、毛細血管の機能低下などが考えられます。これらの検査は術前検査として行われることも多く、手術などによって出血した場合に速やかに止血できるかどうかを調べます。