骨軟部腫瘍・整形外科
骨軟部腫瘍、肉腫とは?
内臓などの上皮細胞から発生した悪性腫瘍を「がん」と呼び、肺や胃に発生した場合は、それぞれ肺がん、胃がんと呼びます。骨や軟部組織(脂肪や筋肉などの非上皮細胞)から発生した腫瘍を骨軟部腫瘍と呼びますが、悪性の骨軟部腫瘍を「肉腫」と呼び、脂肪や骨への分化を示す場合には、それぞれ、脂肪肉腫、骨肉腫と呼びます。悪性腫瘍全体に占める肉腫の割合は1%程度で稀な腫瘍ですが、肉腫の種類は50種類以上あります。また、年齢、性別を問わず、四肢や体幹、内臓周囲などの身体のあらゆる部位に発生します。炎症や外傷によっても肉腫と似たような腫瘤を生じることがあり、区別が難しいこともあります。このように骨軟部腫瘍の診断はとても複雑で、専門的知識を要するため、骨軟部腫瘍を専門とする医師が診断・治療を行うことが求められています。
新潟県立がんセンター新潟病院 骨軟部腫瘍・整形外科の特徴
- 当科では骨軟部腫瘍を専門に扱っています。2020年4月から骨軟部腫瘍・整形外科に科名を変更し、これまで以上に骨軟部腫瘍を中心とした診療・治療を行います。2020年4月現在、骨軟部腫瘍を標榜しているのは、新潟県では当科だけです。日本整形外科学会認定骨・軟部腫瘍医も在籍しています。(骨・軟部腫瘍医についてはwww.joa.or.jp/public/speciality_search/index.htmlをご参照ください)
- 骨軟部腫瘍のほかに、手の外科治療、腫瘍切除後の組織欠損に対する組織再建手術などを扱っています。また当院入院中の患者さんのリハビリテーションの診察を担当しています。なお、脊椎外科と一般外傷は原則として扱っておりません。
- 四肢の悪性腫瘍に対しては広範切除にて根治性に配慮しながら、四肢の温存をはかるとともに、腫瘍用骨補填型人工関節や顕微鏡を用いた組織移植による再建手術・対外照射骨などを駆使して良好な機能の獲得に努めています。
- 骨は内臓のがんが転移をおこしやすい組織なので、外科・内科など他科に協力し、がんの骨転移の診断と疼痛・麻痺・骨折に対する治療を行っています。
- 骨軟部腫瘍は治療可能な施設が少ないため当科では新潟県だけでなく、県外からお越しいただく患者様も多くいらっしゃいます。
- 当科は下記に認定されています。
日本整形外科学会認定研修施設
日本整形外科学会 骨軟部腫瘍診断治療相談コーナー指定施設
日本臨床腫瘍研究グループ(JCOG)骨軟部腫瘍グループ病院
四肢軟部(表在体幹)軟部肉腫専門施設情報公開プログラム(希少がん情報公開病院) - 当科では、臨床の場として皆様の治療に当たる一方、医学の進歩に寄与するために、さまざまな臨床研究を行い、学会や学術論文で発表を行っています。また、JCOGグループ、骨軟部肉腫研究会(JMOG)、日本ユーイング肉腫研究グループ、東北地区骨軟部腫瘍研究グループでの共同研究にも参画しています。
手術実績
当科における2016年から2020年までの手術件数をグラフに示します。
治療成績
当科の治療成績の代表的なものとして、骨肉腫の治療成績を呈示します。骨肉腫は腫瘍性の骨・軟骨形成もしくは類骨形成を示す悪性腫瘍で、原発性悪性骨腫瘍の中では最も発生頻度が高い腫瘍ですが、 日本では、年間新患数は200-300例程度と推計される非常にまれな腫瘍です。10代の若年者の膝周囲および上腕骨の近位に好発します。かつて骨肉腫は最も予後不良な腫瘍のひとつでしたが、1970年ころから化学療法が導入され、生存率が向上し、また、手術方法も、四肢切断から患肢温存手術が主体となり、生存者の日常生活での活動性も改善してきています。当科で2000年から2019年に治療を行った高悪性骨肉腫のうち40歳以下の22症例の10年累積生存率は74.7%で、標準的な治療成績と考えられます。
当科の外来診療
当科では、必要に応じてエコー、MRI、CT、PET-CT等の画像診断や、細胞診、針生検などによる病理診断を外来通院で行っています(検査入院が必要な場合もあります)。当院の新患診察は原則として紹介制となっております。他院にて診断や治療を受けておられる方は紹介状や情報提供書をお持ちください。また、当科の受診が終了した後、3か月以上期間の空いた方は、受診の際に紹介状が必要となりますので、あらかじめご了承願います。
なお、医師の診察日については「外来診療予定表」のページをご覧ください。
はじめての方および当科の最終受診から3か月以上期間の空いた方は、受診の際に紹介状が必要となりますので、あらかじめご了承願います。
スタッフ
専門分野:(骨軟部) 腫瘍