呼吸器外科
特徴
呼吸器(肺・気管・気管支・縦隔・胸壁・横隔膜)疾患、特に原発性肺癌、転移性肺腫瘍など悪性疾患の手術治療を行なっています。原発性肺癌の治療では、呼吸器内科や放射線治療科の先生方と協力して術前術後を通した集学的治療も積極的に行っています。
また、胸腔鏡を用いたモニター視のみで肺切除を行う完全鏡視下手術を行い、術後患者さんの痛みや息切れの増加などQOL(生活の質)の低下を招かぬように、低侵襲手術をほぼ全手術に導入しています。
診療実績など
原発性肺癌手術数は、年間220例前後で推移しています。転移性肺癌を含めると250例の肺癌手術を行っています。肺癌においては、手術症例数の多い病院ほど術後合併症の発生率や手術死亡率が少なく術後生存率が高いと報告されておりますが、当施設における原発性肺癌手術在院死亡数は2020年はおらず、2021年1例、2022年2例でした。
最近の傾向として、2016年に3D胸腔鏡システムが導入されから鏡視下手術の安全性が向上し、胸腔鏡を通して胸腔内の観察と手術をモニター視のみで行う完全鏡視下手術が飛躍的に増えたことです。2016年の導入当初は約4割の使用率でしたが、2019年は約9割5分へと増加しました。現在では、ほぼ全例を完全鏡視下で手術を行っていますが、ロボット手術は導入していません。また術前治療後の進行肺癌や気管支形成術あるいは胸壁合併切除を伴うような肺癌手術でも完全鏡視下手術も行っています。さらに2020年から縦隔腫瘍に対しても完全鏡視下手術を導入しました。完全鏡視下手術の増加に伴い術後在院期間も短縮する傾向にあり、導入当初10日が9日に短縮されました。これは低侵襲で合併症の少ない手術が増えているためと考えられます。
当科は肺癌外科治療の進歩を目的としたJCOG(日本臨床腫瘍研究グループ)肺がん外科グループの一員です。JCOGで計画遂行された研究により確立されたエビデンスを日常診療に生かしております。構築されつつあるエビデンスは画像的非浸潤癌に対する縮小手術の適応です。縮小手術とは、肺切除量を少なくするとかリンパ節を少なく摘出するとの意味があります。この縮小手術の安全確実な手技のために画像支援システムや赤外光観察システムを導入しました。このシステムを駆使して、縮小手術のエビデンスの恩恵をいち早く患者さんにお届けできると考えています。
手術までの待ち時間は、初診後おおよそ4週間です。初診時に手術日を決定しますが、禁煙の確認や肺機能改善を見込め術前呼吸リハビリテーションを行う患者さんではこの限りではありません。入院中のスケジュールは「クリニカルパス」に従って行われます。概要は、手術前日に入院して、入院翌日に手術を行います。手術翌日に食事と離床を開始して術後8日で退院です。
医療設備
3D胸腔鏡システム(2016年~)
画像支援システム(2018年~)
赤外光観察システム(2019年~)
一般社団法人National Clinical Databaseへの症例登録のお願い
一般社団法人National Clinical Databaseへの症例登録のお願い
外来診療
スタッフ