内科: 呼吸器
特徴
新潟県立がんセンター新潟病院は、肺がんをはじめとする頻度の多いがんの診療実績にもとづいて“地域がん診療拠点病院”に指定されています。肺がんに関して全人的な質の高い医療を提供する体制を確保しているだけでなく、地域の医療機関との緊密な連携、肺がんの診療に関する情報提供などを通して、新潟県全体の肺がんに関する医療水準の向上のための様々な活動を行っています。
また、住民検診・職場健診・人間ドックを行っている検診機関などと連携して肺がんの早期発見に取り組んでいることも当科の大きな特徴の一つです。検診などで肺がんが疑われ、精密検査が必要とされた方については、当院に併設されているがん予防総合センターにお電話をいただければ、胸部CTによる精密検査の予約をおとりいただけるようになっています。
近年、肺がんに対する薬物療法の進歩は目覚ましく、その治療成績は向上しています。当科では、最新のガイドライン等に基づいた標準的治療法を含む治療選択肢についてご提案し、インフォームドコンセントに基づき、多職種のチーム医療により適切に治療を進めていきます。
さらに、当科は厚生労働省の研究費による、呼吸器悪性腫瘍に対する標準的治療確立のための多施設共同研究班の研究事業に参画し、全国のがん専門病院と協力して様々な臨床研究を行っています。その他にも国内外の新しい抗癌剤の治験や臨床試験に積極的に参加しており、条件にあう患者さんにはこれらの新しい治療についてもご提案いたします。これらの新しい治療開発に携わることは、医学の発展に貢献し、将来的に患者さんに対してエビデンスの高い、よりよい診療を提供していくことにつながると考えています。
診療内容
肺がんをはじめ、主に胸部の腫瘍性病変の診断と内科的治療を行っています。
住民検診・職場健診や人間ドックの胸部X線検査で精密検査が必要となった方々に対して、胸部CTによる精密検査を行っています。胸部CTで病変がある場合、または病変が疑われる場合には、必要に応じて気管支鏡検査(口を通して気管支の中に気管支ファイバースコープという直径5mm程度の先端にカメラのついた内視鏡を入れて、気管支の中の様子をみたり、気管支を通して病変部から細胞や組織を採って来たりする検査。火曜日と木曜日の午前中に外来で行っています)や、超音波気管支鏡検査(気管支鏡の先端に超音波装置がついた特殊な内視鏡を使用して、気管や気管支のリンパ節などに針を刺して組織を採取する検査。月曜日の午後に一泊二日の検査入院で行っています)、CTガイド下肺生検(CTで病変の位置を確認しながら、からだの外から針を刺して病変の一部を採取する検査。火曜日の午後に一泊二日の検査入院で行っています)を行っています。
また、喀痰検査による検診で精密検査が必要となった方々には、気管支鏡検査および胸部CTなどによる精密検査を行っています。
肺がんと診断された場合には、さまざまな治療法の中から、患者さんにとって一番適切な方法を選ぶために、(1) がんの広がりの程度を調べるための検査(胸部造影CT、胸部MRI、腹部CT、腹部エコー、頭部CT、頭部MRI、ペットCT、骨シンチグラムなど)や、(2) 種々の内臓の機能を調べるための検査(心電図、呼吸機能検査、など)を必要に応じて行います。
治療面では、患者さんの病状に応じて、複数の呼吸器内科医、および必要に応じて呼吸器外科医、放射線科医、病理医と協議のうえで、もっとも最適と思われる治療法を提案しています。治療の方法としては手術療法、放射線療法、抗がん剤や分子標的治療薬による薬物療法、免疫チェックポイント阻害剤を用いた免疫療法、緩和ケア、あるいはこれらの治療を併用する方法があります。治療法を選択する場合には、いくつかの選択肢を提示した上で、その利点、問題点、リスクなどについて説明を行い、患者さんと十分に話し合って決めるようにしています。
内科では主に抗がん剤、分子標的治療薬、免疫チェックポイント阻害剤をはじめとする薬物療法で治療を行います。肺がんに有効な薬剤は近年、数多く開発されつつあります。患者さんの病状・年齢・各内臓の機能・全身の状態などを考慮したうえで、もっとも適切な薬剤を選択しています。実施にあたっては、安全に、苦痛が少なく、そしてより効果的に治療が行えるように配慮しています。また、がんを攻撃する治療のほかに、がんによる咳・息切れ・痛みなどのさまざまな症状を和らげるための緩和治療も治療開始時から並行して行っていきます。がんによる症状をがまんすることは体力の消耗につながり、がんと闘っていくための気力を損なうことにもつながります。全ての症状を解決することはむずかしい場合もありますが、できる限り、こういった症状が軽くなるよう最大限の努力を行っています。
肺がんは手術で完全に切除することが難しい場合には治すのが困難な病気です。しかしながら、肺がんを体内にもっていたとしても、肺がんをできる限り長いあいだコントロールし、患者さんが肺がんによるさまざまな症状に悩まされず、自分らしい時間をできるだけ長く過ごすことができることをめざして治療を行っています。
診療実績
気管支鏡検査:週2回、主に外来で実施。年間約600例。
CTガイド下肺生検:週1回、1泊2日で実施。年間約20例程度。
入院患者における年間新規肺がん登録数:450~500例(手術例を含む)。
年間の内科入院新患数:約180例。
外来
外来では、お仕事や家庭生活を大切にしながらの外来化学療法を積極的に実施しています。また、診断や治療がいったん終了した場合には、その後の経過観察を行っています。当院への通院がむずかしい場合には、患者さんのご自宅に近い地域の病院やかかりつけの医師と連携のうえで在宅治療を行うお手伝いもしています。再来の診察は原則として月、水、金曜日のみです。紹介状を持って来院された患者さんの診察は、原則毎日呼吸器内科の当番医が対応しますが、お待たせする事が非常に多いので、新患外来での予約をお願いしています。(予約の方法についてはかかりつけの先生にご相談下さい)
内科外来 看護部門
在宅酸素療法相談や指導を行っています。
病棟
呼吸器内科の病棟は、西3階病棟(35~40床)です。抗がん剤、分子標的治療薬による薬物療法や免疫チェックポイント阻害剤を用いた免疫療法、放射線療法、がんによる症状に対する症状緩和治療などを行っています。医師、看護師、病棟薬剤師がチームとなり、ひとりひとりの患者さんが適切な治療を、より安全に、より効果的に行っていけるようにこころがけています。また、自宅での生活や仕事と治療の両立にも配慮した短期入院による化学療法も、地域の医療機関との連携をとりながら行っています。
スタッフ