呼吸器内視鏡検査

Q1. 「呼吸器」とは何ですか?

「呼吸器」には「気管」「気管支」「肺」が含まれます。口や鼻から入った空気は「気管」「気管支」を通して「肺」に運ばれ、そこから酸素を血液の中に取り込みます。

「呼吸器」に異常をきたすと、血液の中の酸素量が減り、体にとって大きな負担となります。


Q2. 「呼吸器」に起こる病気はどのようなものがありますか?

肺に起こる病気としては大きく分けて以下のものがあります。


  1. 肺感染症(細菌性肺炎、真菌性肺炎、結核など)
  2. 肺腫瘍(主として肺がんなど)
  3. びまん性肺疾患(間質性肺炎など)
  4. その他(気道異物など)

これらの病気の多くは検診や病院を受診した際に胸部X線で発見され、さらにCT検査で評価されます。その後、必要に応じて「気管支内視鏡(気管支鏡)」などの検査を用いて確定診断や処置を行います。


Q3. 「気管支内視鏡(気管支鏡)」とは何ですか?

気管支鏡は先端に4-6mmのカメラのついた細い管であり、口からのどを通して気管、気管支内に挿入して以下のQ4に示すような様々な処置を行うことができます。


Q4. 「気管支内視鏡(気管支鏡)」で行う処置にはどのようなものがありますか?


  1. 気管支内視鏡検査(直視下):気管、気管支に腫瘍が見られる場合には直接腫瘍の一部を採取して検査を行います。その他、肺炎の患者さんに適切な抗生剤を選択するために痰を採取したり、肺手術後の患者さんで手術創を確認したりする事も行います(つないだ気管支がきちんと繋がっているかどうか、など)。
  2. ガイドシース併用超音波内視鏡検査(EBUS-GS):肺の端っこにできた小さな“肺がん”または“肺がん疑い”の病変に用います。このような病変は通常の気管支鏡での診断は困難です。EBUS-GSは、腫瘍までしっかり到達しているかどうか超音波で確かめた後に生検を行う検査です。この検査の際にはナビゲーションシステムを用いてより正確に病変にたどり着けるような工夫をして行います。
  3. 超音波気管支鏡ガイド下針生検(EBUS-TBNA):気管、気管支のまわりにあるリンパ節(縦隔リンパ節、肺門リンパ節)が腫れている患者さんにおいて、先端に超音波がついた特殊な気管支鏡を用いてリンパ節から針生検を行う検査です。
  4. 気管支肺胞洗浄(BAL):びまん性肺疾患を診断するために、気管支を経由して生理食塩水で肺の中を洗うことで、その洗浄液内に病気の原因となっている細胞を確かめる検査です。
  5. 経気管支肺生検(TBLB):主としてびまん性肺疾患を診断するために、肺の一部を生検する検査です。
  6. 気管支ステント留置術:腫瘍により「気管」「気管支」が細くなって、呼吸が苦しくなっている患者さんに、「ステント」を病変部において空気の通り道を確保する処置です。
  7. その他:気管支充填術、気管支拡張術、など

Q5. 新潟がんセンターではいつ気管支鏡検査を行っていますか?また、どのくらい行っていますか?

通常の気管支内視鏡検査、EBUS-GS、BALは通常外来で行います。

ただし、患者さんに脳や心臓の病気があり、“血をさらさらにする薬”を内服している場合には、前処置として抗凝固薬を1週間点滴する必要がある場合があります。その際には入院で検査を行います。

毎週火曜日、木曜日の午前中に病院1階の「気管支鏡検査室」にて最大6人の呼吸器内科医師と看護師、洗浄員のスタッフで行っています。

気管支鏡検査は年間約500件行っており、新潟県内でトップクラスの実績を有しています。


EBUS-TBNA、TBLBは1泊入院で行います。EBUS-TBNAは安静が重要ですので、静脈麻酔を用いて検査を行います。

毎週月曜日午後から病院1階の「気管支鏡検査室」にて最大6人の呼吸器内科医師と看護師、洗浄員のスタッフで行っています。

EBUS-TBNAは現時点で年間50件程度ですが、件数は徐々に増加しています。


Q5. 気管支鏡検査はどのような流れで行われますか?

(通常の気管支内視鏡の場合)

気管支鏡検査を受けられる場合には、かならず付き添いの方と一緒にお越しください。


  1. 気管支鏡室に入室されたのち、看護師が血圧、体温、血中酸素濃度などを測定し、体調などの問診を行います。新型コロナ感染症との接触歴も同時にお聞きしますので、もし、心当たりがあれば申し出てください。状況次第で検査の延期を検討する場合があります。
  2. 検査が楽に行えるように、唾液を抑える薬剤と、少し不安を和らげる薬剤をおしりに筋肉注射します。緑内障や前立腺肥大症と診断されている患者さんは、この注射で病状が一時的に悪化する場合がありますので、①の問診の際に忘れずに看護師にその旨を伝えてください。
  3. 呼吸器内科医師により、のどに麻酔スプレーを行います。麻酔液はなるべく飲み込まずに吐き出しましょう。ここでしっかり麻酔がかかると後が楽ですので、ご協力をお願いします。
  4. 検査を行います。検査時間は20分〜30分程度ですが、検査の内容により前後します。
  5. 検査後、1時間ほどベッドで安静にしていただきます。
  6. 看護師が患者さん、ご家族に検査後の注意事項を説明して帰宅となります。帰宅の際にはくれぐれも患者さん自身が運転などなさらぬようにお願いします。
  7. 当日には検査結果は出ませんので、後日(1-2週後)外来で担当医からお伝えします。検査後に一時的な血痰や発熱など認めることがありますが、基本的には問題ありません。改善のない場合、悪化してくる場合には外来にご連絡ください。その後の対応などについてご相談させていただきます。

さいごに

肺がんの治療法は急速に進歩しています。その進歩を患者のみなさんが得るためには、気管支鏡検査でしっかりした組織を採取して、細胞の形態や遺伝子などを細かく検査することが必要になっています。新潟県立がんセンター新潟病院呼吸器内科スタッフは患者さんが安全、かつ安楽に検査を受けて頂けるように努力してまいります。気づいたことや、要望などありましたら遠慮なくご意見いただけますようにお願いいたします。


2020年7月13日

気管支内視鏡スタッフ一同