県立病院における診療録開示の基本方針
目的
第1 この指針は、患者等に診療情報を的確かつ適正に提供することで、医療提供者と患者等が診療情報を共有することにより、相互の信頼関係を深め、県立病院における質の高い開かれた医療を実現することを目的とする。
定義
第2 この指針において、次の各号に掲げる用語の意味は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
診療情報
診療の過程で、患者の身体状況、病状、治療等について、医師又はその指揮・監督下にある医療従事者が知り得た主観的、客観的情報
診療録
医師が作成する診療に関する記録(医師法第24条に基づく所定文書)
診療記録
診療録、看護記録、手術・麻酔記録、検査記録、エックス線フィルム及びその判定結果、栄養指導報告書等、診療を目的として作成され、病院が保有している全ての記録
要約書
診療記録の主要な内容を簡単にまとめたもの
提供する診療情報の範囲
第3 提供する診療情報の範囲については、医師が必要と認めた患者の診療に関する情報とし、患者の診療を目的として医療従事者が作成した診療記録とする。
診療情報の提供を申し出ることができる者
第4 診療情報の提供を申し出ることができる者(以下「申出者」という。)は、次のとおりとする。
- 患者本人
- 患者本人以外の者
- 未成年者又は成年被後見人の法定代理人
- 患者のケアを行っている親族等で病院長が認めた者
ただし、患者本人が合理的判断ができない場合を除き、患者本人の同意を必要とする。
患者本人が死亡した場合の特例
第5 診療情報の提供は、原則として第4に定める者に対して行うものであるが、医療従事者と遺族との信頼関係を保ち、患者の生前における医療側の説明を補完する意味から、配偶者及び2親等以内の親族であって病院長が正当な理由があると認めた遺族に対しては、情報提供することができるものとする。
ただし、この場合、提供者は患者の名誉・尊厳を侵すことのないよう、十分に配慮するものとする。
診療情報の提供方法
第6 診療情報の提供は次により行う。
- 口頭による説明
- 診療記録の閲覧
- 診療記録の写しの交付
- 要約書の交付
2 医師は、患者に対して懇切丁寧に診療情報を説明、提供するよう努めなければならない。
診療情報の提供手続
第7 診療情報の提供申出の手続については、次の手続による。
ただし、日常の診療活動における病状等の説明において、診療記録を閲覧に供する場合などは、当該手続を省略して差し支えない。
- 申出者は、「診療情報提供申出書」を病院長に提出しなければならない。
- 病院長は、申出書を受理した日から起算して15日以内に、診療情報の提供の可否等について決定し、申出者に対して「診療情報提供決定通知書」により通知する。
ただし、やむを得ない理由により規定の期間内に決定することができないときは、申出書を受理した日から起算して30日を限度として、その期間を延長することができる。この場合、「診療情報提供決定期間延長通知書」により、速やかに延長の理由を申出者に通知するものとする。 - 病院長は、診療情報の提供の可否等の決定にあたり、あらかじめ第8に定める診療情報提供委員会(以下「委員会」という。)に諮るものとする。
ただし、診療情報を提供することに特に問題がないと病院長が判断したときは、この限りでない。
診療情報提供委員会の設置
第8 診療情報の提供が適切に行われるよう、各病院に委員会を設置し、当該委員会は次の業務を所管する。
なお、新潟県個人情報保護条例(平成10年新潟県条例第40号)の制定に伴い設置した、個人情報保護検討会は当該業務を兼務するものとする。
- 診療情報の提供の申出に対する対応について審議の上、病院長に答申すること。
- その他診療情報提供に係る運用上の問題点を検討すること。
提供しないことができる診療情報
第9 診療情報の全部又は一部を提供しないことができる場合は、次のとおりとする。
- 患者本人又は第三者の正当な利益を害するおそれがあるとき。
- 診療情報を提供することによって、患者本人に心理的影響を与える等、治療効果等への悪影響を及ぼすおそれがあるとき。
- 前二号のほか、診療情報の提供を不適当とする相当な事由が存在するとき。
診療情報の提供に必要な費用の徴収
第10 診療情報の提供に必要な費用の徴収については、次のとおりとする。
- 診療情報の閲覧、口頭説明及び要約書の提供については無料とする。
- 写しの交付に係る費用については、新潟県病院局個人情報保護事務取扱要綱で定める「費用負担」によるものとする。
その他
第11 この指針の運用に当たっては、新潟県個人情報保護条例の趣旨を尊重し、個人情報の適正な取扱いの確保及び個人の権利利益の保護を図ることに十分留意するものとする。
附則
この指針は、平成14年6月17日から施行する。