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頭頸部のがん: 喉頭がん
1. 部位と機能
喉頭(いわゆるのどぼとけ)は音声を発する声帯を含んだ臓器です。咽頭と気管を繋がぐところに位置しています。機能は口から気管、肺につながる空気の通り道で、食事の際に肺に入らないように気管に蓋をする役目もあります。もうひとつの機能は声帯による発声機能です。喉頭がんは声帯にできるがんを声門型、それよりも上にあるものを声門上型、下にあるものを声門下型と区別しています。
図1 国立がん研究センターがん情報サービスより引用
2. 発症要因
発症要因は喫煙が主であり、また飲酒もあげられます。喫煙と飲酒が合わさることで発症リスクは高くなるとされています。
3. 症状
声門型の患者さんでは嗄声(声がかれること)を訴える方が多く1ヶ月くらいしても治らない方は受診をお勧めします。放っておくと血痰、呼吸が苦しくなってきますが頸のリンパ節転移や肺転移などは少ないのが特徴です。声門上型はのどの違和感や痛みで受診することが多く、声門型よりも頸部リンパ節転移が多い傾向にあります。声門下型は症状を出しにくいために進行して、嗄声や呼吸困難で受診される方もいます。
4. 検査
診断は口腔や鼻腔からのファイバースコープが有用です。その際にファイバー併用を使用した組織検査で病理組織診断(病理医による組織の顕微鏡検査)を行います。さらにCT、MRI、PET/CTなどで進展範囲、頸部リンパ節転移、遠隔転移の有無を調べて病期分類を決定して進行度を判定します。
5. 治療
一般的に早期がんは放射線治療や喉頭温存手術、進行がんは喉頭喪失手術(喉頭全摘術)や抗がん剤併用の放射線療法を行います。早期がんや小さい再発がんは、喉頭温存手術の施行も場合により可能で、声の質はやや悪くなりますが声帯の保存ができ、発声機能の温存が可能です。喉頭全摘後は声帯の喪失により発声することが不可能になります。代用音声として、食道発声というリハビリや電気喉頭という器具でコミュニケーションをとるのが伝統的で、他に気管食道シャント発声法があり、患者さんに適した音声機能の回復に努めます。気管食道シャント発声法の原理は、気管・食道シャント(気管と食道の間に小さな孔をあけること)を経由して肺の空気を咽頭に送りこみ粘膜を震わせることで、代用発声が可能です。代用発声の質は食道発声や電気喉頭よりも肉声に近いもので比較的容易に音声機能を再獲得することが可能です。当院で対応は可能です。
進行がんの治療は、喉頭喪失が許容できない場合には、抗がん剤併用放射線治療(化学放射線治療)となります。化学放射線治療は、放射線による咽頭粘膜炎、皮膚炎、唾液分泌障害、味覚障害、嚥下障害などが生じやすく、さらに併用する化学療法による嘔気、嘔吐、食欲不振、下痢、血液検査上の異常などが生じやすくなります。治療を最後までやり遂げるための、支持する療法(支持療法)として疼痛管理、栄養管理(予防的内視鏡的胃瘻造設や末梢挿入型中心静脈カテーテル留置)、スキンケア、口腔ケア、嚥下リハビリ、精神面のケアを行うため、チーム医療として看護師、薬剤師、言語聴覚士、栄養士、口腔外科医、理学療法士と協力して機能維持・回復のお手伝いを行います
6. リハビリ
喉頭喪失後には、電気喉頭の使用方法やシャント発声の指導を言語聴覚士が行います。また下気道保護のための指導も合わせて行っています。また術後肩の拘縮予防のために、リハビリを行っています。入院中の放射線治療時には、チーム医療として看護師、薬剤師、言語聴覚士、栄養士、口腔外科医、理学療法士と協力して機能の回復と維持のお手伝いを行います。