骨軟部腫瘍・整形外科:軟部肉腫

軟部肉腫

軟部肉腫には、様々な組織型、悪性度があり、発育様式や補助療法の感受性もそれぞれ異なります。2017年の全国軟部腫瘍登録によると、最も多い軟部肉腫は、脂肪肉腫で775例、以下、多い方から順に5番目まで挙げると、悪性線維性組織球腫(現在の未分化多形性肉腫に相当)306例、粘液線維肉腫189例、平滑筋肉腫130例、滑膜肉腫79例でした。組織型に応じた手術療法、化学療法、放射線療法がおこなわれますが、一般的な軟部肉腫の治療の根幹となるのは手術療法です。軟部肉腫の手術療法では機能の温存を図りつつ局所根治性を獲得できるような手術治療を行います。腫瘍の切除に際して温存が不可避な重要組織については、再建術が必要となります。皮膚欠損に対しては皮弁や植皮術、血行再建には自家血管や人工血管の移植術、手指の機能再建には腱移行や腱移植等が行われます。骨・関節まで合併切除した場合は、人工関節や自家処理骨等による再建が必要になります。


化学療法については、軟部肉腫のステージや年齢、全身状態などを勘案して方針が検討されます。手術の補助療法として行う場合はアドリアマイシンとイフォマイドによる化学療法を行うことが標準的です。