HPVワクチン

HPVワクチンについて

HPVワクチンは、子宮頸がんの原因となる、ヒトパピローマウイルス(HPV)の感染を予防するワクチンです。子宮頸がんの約95%はHPV感染が原因であり、HPVが関与しないがんは稀であります。ワクチンはHPVの感染を防ぐことで、子宮頸がんや前がん病変を防ぎます。しかしながら、すでに発症してしまった子宮頸がんやその前がん病変,既存のHPV感染に対する治療効果はありません。そのためHPVに感染する前の性交未経験の女性に対する接種が最も有効的です。


HPVワクチンの種類と効果

HPVワクチンには、2価ワクチン(サーバリックスⓇ)、4価ワクチン(ガーダシルⓇ)、9価ワクチン(シルガード9Ⓡ)があります。2価ワクチンはHPV16/18型、4価ワクチンはHPV16/18/6/11型、9価ワクチンは16/18/31/33/45/52/58/6/11型が含まれます。性交未経験の女性に接種した場合には2価ワクチン、4価ワクチンは子宮頸がんの60~70%、9価ワクチンは約90%の予防が期待できます。また4価ワクチン、9価ワクチンは、尖圭コンジローマの原因であるHPV6/11型の予防効果もあります。世界では女児に対しては100カ国以上、男児に対しては40カ国以上で国が定める定期接種として接種が推奨されています。


接種対象

小学校6年~高校1年相当の女子は、予防接種法に基づく定期接種として、公費により2、4、及び9価HPVワクチンを接種することができます。HPVワクチンはいずれも原則3回の接種が必要です。ただし9価ワクチンのみは15歳の誕生日の前日までに初回の接種を開始した場合は、約6ヶ月あけた(最低でも5ヶ月以上)2回の接種で接種を完了とすることができます。初回接種時に、必要回数と追加接種時期をご確認ください。


2013年から2021年の、HPVワクチンの接種を個別にお勧めする取組が差し控えられていた間に、定期接種の対象であった方々の中には、HPVワクチンの公費での接種機会を逃した方がいらっしゃいます。こうした方に、公平な接種機会を確保する観点から、定期接種の対象年齢を超えて、あらためて公費で接種ができます。


公費接種の対象でない方も任意接種としてHPVワクチンを接種することは可能です。45 歳までの方にはある程度の予防効果が認められています。接種費用は全額自己負担となります。


当科ではHPVワクチン接種はしていません。公費接種は各市町村が実施しています。接種方法などの詳細については、お住まいの市町村のホームページ等をご参照下さい。任意接種に関しては、お近くの医療機関などにご相談ください。


HPVワクチンの安全性

筋肉注射という方法で注射します。副反応として接種を受けた部分の痛みや腫れ、赤みなどの局所の症状や頭痛、倦怠感、発熱などの全身の症状が起こることがあります。重篤な副反応としてはまれではありますが、アナフィラキシー等が報告されています。その他に、接種時に不安が強い場合などには、疼痛等をきっかけとしてワクチン接種ストレス関連反応が発生することがあります。ワクチン接種ストレス関連反応には、交感神経系や副交感神経系の活性化により引き起こされる、失神や過換気等の即時型のものや、解離性神経症状と言われる、広い範囲の痛み、手足の動かしにくさ、不随意運動といった遅発型のものなどの多様な症状が含まれます。ワクチンが原因となったものかどうかわからないものを含めて、 接種後に重篤な症状として報告があったのは、ワクチンを受けた1万人あたり約5~7人です。ワクチン接種ストレス関連反応を防ぐためには十分に納得した上で接種を受けることが重要とされています。もし接種への不安が強ければ接種医療期間へご相談ください。


子宮頸がん検診の必要性

HPVワクチンはすべての子宮頸がんを予防できるわけではないため、子宮頸がん検診も合わせて定期的に受診することが大切です。子宮頸がんは一次予防としてHPVワクチン、二次予防として子宮頸がん検診、この二つを組み合わせることで予防することができます。