第41巻第1号 2002年1月

目次

特別報告


総説


症例


資料・統計


  • 2000年悪性疾患入院患者統計:75
    新潟県立がんセンター新潟病院情報調査部 病歴室

寄稿



要旨

EBM (Evidence Based Medicine) とInformed Concent (IC)

張 高明


現代医療の根本はEvidence Based Medicine (EBM) であり、医療スタッフは、治療を受ける患者および家族が疾患に対する充分な知識と予想される有害事象も含めた治療に関する情報を適切な方法で入手し、同意すること、すなわちInformed Consent (IC) が可能となるように全力を注がなくてはならない。また、EBMの実践に関してはEvidence (根拠) のレベルの客観的評価が必須であり、この目的のためには高いレベルのEvidenceとなる質の高い臨床試験の実施が必要である。しかしながら、決して忘れてはいけないのは、臨床試験のための臨床試験になってはならないことであり、より良い標準治療の確立という最大目的を常に念頭において効率の良い臨床試験の積み重ね、各疾患における標準治療法を一つ一つ確立して行く姿勢が切望される。


病院情報システムの構築にむけて

椎名 真


当院が次期病院情報システムの導入を計画してからすでに5年が経過した。この間、全国の病院には病院情報システムの導入が進み、先進的施設ではオーダリングから電子カルテへのシステムの発展があった。我々はかなり遅れをとっている現状である。当院では、システムの統合が図られないまま各部門システムが肥大化・複雑化しており、これが病院情報システムの新たな導入に際し障害となることさえ懸念される。

厚生労働省は現在「保健医療分野の情報化」を推進しており、平成18年度までに全国の400床以上の病院の6割に電子カルテシステムを導入することを目標としている。いまこそ当院は病院情報システムの本格的導入を図って医療の質を高め、県民のがん医療に対する期待に応えなければならない。


内視鏡データファイリングとMinimal Standard Terminology (MST)

小越和栄、加藤俊幸、秋山修宏、本山展隆、船越和博、小堺郁夫、新井 太


内視鏡画像ファイリングは本邦では1990年に始まり、現在では多くの施設でDICOM画像またはweb画像によるデジタルファイリングが行なわれている。さらにこの内視鏡画像にレポート作成のための共通用語MST を使用しての内視鏡単独システムとして運用している施設が多い。当院はオリンパス光学製のEVISシステムによるデシタル画像ファイリングとMSTを使用したデータファイリングを行なっている。さらに当院では院内LAN によるJPEG圧縮画像を参照画像として診療に使用している。これらの単独システムは、将来検査オーダシステムや他の単独システムとの連動で、総合電子カルテシステムを構築する事が可能となる。