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- 第38巻第2号 1999年7月
第38巻第2号 1999年7月
目次
総説
- 新潟県における頭頸部悪性腫瘍の動向:1
長谷川 聡
原著
- MRSA保菌者に対する術前除菌と術後感染予防効果−膀胱全摘除術について:8
小松原秀一、糸井俊之、有本直樹、内藤雅晃、宮島憲生、渡辺 学、北村康男、宇田和美、千野直子、川口洋子
資料・統計
- 1998年婦人科入院悪性腫瘍統計:13
高橋 威、本間 滋、笹川 基、遠藤道仁、三井卓弥、塚田清二、田村 希 - 1998年産科分娩統計:15
田村 希、三井卓弥、菊地真理子、塚田清二、遠藤道仁、笹川 基、本間 滋、高橋 威 - 1998年放射線治療の概要:26
斉藤真理、植松孝悦、石川浩志、椎名 真、清水克英、小林晋一 - 1998年肺がん検診喀痰細胞診成績:29
宇佐見公一、村木秀樹、桜井友子、西村広栄、落合広美、小林由美、平山智香子、泉田佳緒里、佐藤由美、石黒 綾、村山 守、島津ハナ、山口栄子、本間慶一、根本啓一 - 1998年病理部業務統計:32
村木秀樹、桜井友子、落合広美、宇佐見公一、平山智香子、小林由美子、泉田佳緒里、佐藤由美、石黒 綾、村山 守、島津ハナ、西村広栄、太田玉紀、本間慶一、根本啓一 - 1998年 人間ドック成績:37
- 1998年 悪性疾患入院患者統計:41
- 1998年 発表論文一覧:47
- 1998年 学会・集会発表一覧:56
抄録
- 第17回新潟がんセンター集談会:76
要旨
新潟県における頭頸部悪性腫瘍の動向
Malignant Tumors of Head and Neck in Niigata
長谷川 聡 Satoshi HASEGAWA
新潟県における頭頸部癌を中心とした悪性腫瘍の動向について報告する。その際1986年より開始された頭頸部悪性腫瘍登録(当科が事務局)の資料をもとにした。発生数は喉頭・甲状腺癌を中心に漸増傾向がうかがわれる。特にこれからの超高齢化社会においては、喉頭癌への対処の重要性が示唆される。性差は7:3程度と男性優位で、年齢は男女とも60歳代が最多である。病理組織では上皮性悪性腫瘍が90%を占め、その中でも扁平上皮癌が際立って多い。発生部位別では喉頭が最も多く、次いで口腔、甲状腺、下咽頭などである。進行度(T・N因子)の特徴は、喉頭癌が比較的早期例であり、中・下咽頭癌は進行例が多い。また県内における5年累積生存率は、喉頭癌70.0%、口腔癌50.8%、甲状腺癌90.0%、下咽頭癌25.8%、などであり、標準的治癒率と比較しても劣っていることはなく、県内の治療レベルはある程度評価できるものといえる。
MRSA保菌者に対する術前除菌と術後感染予防効果−膀胱全摘除術について
Elimination of MRSA Carriage and Prophylactic Effect in Radical Cystectomy
小松原秀一、糸井俊之、有本直樹、内藤雅晃、宮島憲生、渡辺 学、北村康男、宇田和美、千野直子、川口洋子
Shuichi KOMATSUBARA,Toshiyuki ITOI,Naoki ARIMOTO,Masaaki NAITO,Norio MIYAJIMA,Manabu WATANABE,Yasuo KITAMURA,Kazumi UDA,Naoko CHINO,Yoko KAWAGUCHI
(目的)膀胱全摘除、尿路変更術の術前にMRSA保菌が明らかになった患者を除菌し、術後感染症を予防することが可能であるか検討した。
(対象と方法)1)1993年以降のMRSAの保菌、感染患者数と、1998年のMRSA頻度、薬剤感受性を調査した。2)1993年から1995年の間に膀胱全摘除術を受けた患者のMRSA感染について調査した。3)1996年から1997年の2年間には膀胱全摘除術前に全例細菌培養検査を施行し、保菌者には除菌を試みた。
(結果)1)1998年に検出された黄色ブドウ球菌におけるMRSAの割合は外来26.7%、入院57.1%であった。2)1995年以前には31例中11例(35.5%)が術後MRSA感染を併発した。3)1996年から2年間、12例中7例の保菌者のうち5例にはST合剤内服を主とし、手術直前に判明した2例には手術前日からVCM静注により除菌、全例、術前あるいは手術直後にMRSAは消失した。6例は術後MRSA感染なく良好な経過であった。他の1例は術後合併症を生じた。
1998年度肺がん検診喀痰細胞診成績
Sputum Cytology in Mass Screening of Lung Cancer in 1998
県立がんセンター新潟病院 病理部
宇佐見公一、村木秀樹、桜井友子、西村広栄、落合広美、小林由美子、平山智香子、泉田佳緒里、佐藤由美、石黒 綾、村山 守、島津ハナ、山口栄子、本間慶一、根本啓一
Kouichi USAMI,Hideki MURAKI,Tomoko SAKURAI,Kouei NISHIMURA,Hiromi OCHIAI,Yumiko KOBAYASHI,Chikako HIRAYAMA,Kaori IZUMIDA,Yumi SATOU,Aya ISHIGURO,Mamoru MURAYAMA,Hana SHIMAZU,Eiko YAMAGUCHI,Keiichi HOMMA,Keiichi NEMOTO
1998年度肺がん検診細胞診は22市町村より委託を受け、4450名の検査を実施した。男女の内訳は、男性3929名(88.0%)、女性は521名(12.0%)であり、有効検体率は4450例中4431例で99.6%であった。その結果、日本肺癌学会の判定基準に準じ24名(0.54%)の要精検者を判定した。要精検者24名の内訳は、男性23名(95.8%)、女性1名(4.2%)、年齢は62〜87才(平均73.5)、推定された病変は扁平系が23例、腺系1例であった。精検受診者は22名(精検受診率は91.7%)で精査後9名の肺癌(精査後癌発見率は40.9%)が発見され、喀痰細胞診による癌発見率は人口10万対比203であった。
1998年 病理部業務統計
Annual Report of Pathology in 1998
村木秀樹、桜井友子、落合広美、宇佐見公一、平山智香子、小林由美子、泉田佳緒里、佐藤由美、石黒 綾、村山 守、島津ハナ、西村広栄、太田玉紀、本間慶一、根本啓一
Hideki MURAKI,Tomoko SAKURAI,Hiromi OCHIAI,Kouichi USAMI,Chikako HIRAYAMA,Yumiko KOBAYASHI,Kaori IZUMIDA,Yumi SATOU,Aya ISHIGURO,Mamoru MURAYAMA,Hana SHIMAZU,Kouei NISHIMURA,Tamaki OHTA,Keiichi HOMMA and Keiichi NEMOTO
1998年(1月〜12月)・病理部業務統計を報告する.依頼総件数22,453件,作製ブロック数42,457個,染色標本85,891枚であった.依頼内訳は,組織診断10,025件,細胞診7,969件,電子顕微鏡検索85件,病理解剖35件,院外受託5,085件であった.依頼科別では,内視鏡5,437件と,当年9月に開設したがん予防総合センターの業務開始もあって(1,566件) ,院外受託(503件)も含めると,総件数の60%を占めた.細胞診は,子宮頚体部3,641件で,46%を占めた.全件数のClassⅢ以上は19.6%であった.
本年(1999年),当病院に整備された,がんネットワークシステムの一部門である病理検査システムとテレパソロジーにより,迅速でより高度な診断情報の提供に向けて,現在このシステムを構築中である.